歌を歌う時、存分に声が出せるよう、しっかりとコンディションを整える必要があります。もちろん発声練習で歌を練習する際にも、声がしっかりと出せる準備が整っていないと思うように練習は成立しません。実際のレッスンでも、歌を歌う前のウォーミングアップは欠かせない過程なのです。どのようなウォーミングアップが望ましいかというと、それは『発声練習法』であると言われています。

声質・滑舌・声量などを存分に発揮できる準備体操とも言えますね。ではどのように練習することが歌を歌う際に効率良く、そしてより声を出すことに繋がるのかについて、今回はそれらをテーマにいくつか紹介していきたいと思います。どの練習法も効果的で、場所を選ばず今からでも実践可能なものばかりです。早速練習して歌を歌ってみましょう♪

スポンサードリンク

好きな目次をクリック♪

歌う前に実践すべき発声練習法5選

発声練習 歌う前

「さぁ歌を歌おう!」とした時、アップなど何もせず全開で声を出せることはスゴイことです。でも実は何の準備もせずに歌うことがどのような結果になるかというと…。それは自分が思っているよりも、喉や声帯にとってはマイナスづくしと危険度が非常に高い行為なのです。

スポーツや運動をする際には必ず準備運動を行いますよね?準備運動をする理由は『身体をほぐすこと』の側面に『ケガをしないため』という理由があるのです。

同じように発声練習にも準備運動が必要不可欠です。「声をしっかりと出せるように」の側面には「(のどや声帯を守るため)」という重要な目的も存在しているのです。無理に声を出してしまうと喉にも少なからずダメージがあるのです。

「カラオケでずっと歌っていると声が出なくなる」と、そんな感じです。歌う前に発声練習を行う事によって喉に声を出す準備をさせ、ダメージを軽減し長く歌える…といった多くのメリットに繋がるのです。

発声練習その①『リップロール』

ARVE

リップロールは一度やってみるとクセになるほど、効果的な発声練習法として有名です。名前の通り、唇を震わせるという練習法になりますが、覚えてしまえばとても簡単ですが、慣れるまでは難しいので回数をこなさなければなりません。

  1. 唇の滑りをよくするために、少し唇を濡らす。
  2. 唇を軽く閉じて、少し突き出す。
  3. 息をゆっくり吹き出しながらプルプルと唇を震わせる。
  4. 振動は緩やかになるよう意識し、息よりも振動が途切れてしまう場合は、力み過ぎている証拠です。大切なのは”力を入れすぎず緩やかに”で、次第に音が回転して聞こえるようになればベストです。
  5. 上手くプルプルができるようになったら、今度は「うー」と音をつけて歌うように。
  6. 息継ぎは必ず口を開けて吸う。鼻では吸わないように意識します。
  7. 顎を下げ、音階をつけてプルプルしていきましょう。

リップロールでは、実は高い音域まで出すことが出来ます。高音アップにも効果があると言われるほど、効果的な練習法なので、是非マスターして実践しましょう。

発声練習その②『ロングトーン』

ARVE

『ロングトーン』とは同じ音を変化を付けず、伸ばして出す練習法です。肺活量の向上と声を伸ばしやすくなる効果があると言われていて、「吐き続ける」「吐ききる」という2つの動作がポイントです。

  1. 自分の出しやすい音で、口を開け「あー」と息が続くまで長く伸ばして同じ音で発声する(※息の強さは一定)
  2. どのくらい持続できるか初めのうちから計測しましょう。続けると結果に違いが出てくるのでやりがいを感じること間違いなしです。

練習方法はたったこれだけです。しかし、練習を始めた最初の内は15秒続けることが限界という方もいるでしょう。ロングトーンをマスターして続けられるようになれば、 30秒伸ばすことも可能になります。

例えば歌のサビ部分や、歌い終わりの部分で歌声を伸ばすという行為にロングトーンが使われていて、長く綺麗なロングトーンができるようになれば「この人歌が上手いなぁ~!」と印象付けられるようなテクニック法とも言えます。

発声練習その③『ロングブレス』

ARVE

名前の通り、息を長くもたせるための練習法です。歌っていて「息が続かない」「歌の最中に苦しくなる」という悩みの解消に繋がります。

  1. 息を大きく吸い込む。
  2. 舌を前歯にそっと触れさせた状態で、吸った息を歯と歯のすきまから「スーッ」と一定の力で出す。

まずは計測して30秒を目指します。慣れてくると40秒、50秒と続けることができるようになります。ロングブレス練習法のポイントとして、吐き出す息に波を作らず一定を保つことです。

一定の強さで息を吐き続けることは、実は非常に難しく、かなり腹筋を使います。次第にこの動作が腹式呼吸に繋がるので、「まだ腹式呼吸に慣れない」「息が続かない」という方は是非発声練習の際にしっかり行うと良いでしょう。

またロングブレスには腹筋の向上効果もあり、ダイエットにも効果的であることも有名です。息を一定に吐き続けるだけで腹式呼吸から呼吸の安定した歌、ダイエットまで多くのメリットがあることから、人気の発声練習法といわれています。

発声練習その④『ハミング』

ARVE

簡単にいうと『ハミング=鼻歌』と言われています。朝起きた時は声が出辛いものです。「さぁ歌おう!」と歌ってもイマイチ声が出ないし通らない…といった経験がある方は多いことでしょう。

ハミングを発声練習法に取り入れるメリットとして、「ピッチに正確さが出る」「腹式呼吸の精度を上げる」「裏声の強化」というような、歌を歌う為に必要な基本からレベルアップまでの重要なポイントを強化することができるのです。

  1. 椅子に座って上体を前かがみにする。
  2. 好きな音で鼻歌を歌う。
  3. 鼻歌を歌いながら、ゆっくりと上体を元の位置へ戻す(上体を起こす)

このハミングでは、声の通りを良くするという効果をもたらせます。最初は慣れない動作になりますが、短いワンフレーズでも良いので、好きな歌のサビの部分だけでも続けてみましょう。

上体を下す・上げるという動作により、しっかりと腹筋を使うので、いくら鼻歌でも一定の音のバランスで歌い続けるのはとても難しいのです。一定で歌えるようになると、裏声を出してもブレにくく、しっかりと音程の合った音を発声できるようになります。

【関連記事】

【発声練習の方法】高齢者のリハビリにもなる例題も分かりやすく紹介

歌う前に滑舌を良くするための発声練習法

ARVE

まず『まめみむめもまも』を発声します。最初はゆっくり発声しながらも徐々にペースを速め、最終的には早口で発声します。この時注意しておきたい点として、口先だけで発声しないことです。

口・頬・あごを動かすことを意識しながら発声するように心がけて実践してみましょう。この練習では、表情筋も鍛えることができることがオススメポイントです。

つぎに『らりるれれろらろ』を発声します。先ほどと同じように最初はゆっくり、そして徐々にスピードアップします。この練習では、良い滑舌になるために必要不可欠となる舌の根元『舌根』を柔らかくし、滑かで聞き取りやすい発声に繋がります。

アナウンサーや演劇部、ボイストレーニングのレッスンでも多く取り入れられている発声練習法として有名です。練習初めの頃は噛んでしまうことも多くあるかも知れませんが、慣れるとスラスラ発声できるようになりますので、一番効果的な滑舌の改善とスキルアップに繋がります

【関連記事】

表現力をつける(高める)には?練習方法を実践して身に付ける!

歌う前の発声練習法【番外編】

発声練習 歌う前

それではここまでの基本となる発声練習法にプラスして、さらにレベルアップをしたい方や、少しでも発声練習を多く取り入れ効果を出来るだけ実感したい方に向けて、番外編を詳しく紹介していきます。

この番外編では

  • 腹式呼吸をより簡単にマスターする方法
  • 普段出なかった音階の歌でも歌えるようになるコツ
  • ピッチ(音階)を合わせて歌える動作

…と、上記3つに関して詳しく説明します。

オーディションでもよくある『歌唱審査』。緊張してしまっては音も取れず声も震えてしまい、「実力を発揮するどころか結果が思わぬ方向になってしまった…」という残念な話もよく聞きます。カラオケでも言えることですが、人に聞いてもらうような場所で「普段より上手く歌えない」といったことだけは絶対避けておきたいところです。

せっかく練習するのであれば普段歌っている曲をさらに上手く歌えるようにしたり、「この曲は好きだけどキーが出ないから…」と諦めてしまうような曲でも歌えるようになるなど、そんなレベルアップに繋がる練習をすべきでしょう。

そこで次の項目からは、出来るだけ簡単で続けやすく、何よりとても効果があると言われている練習法を紹介していきたいと思います。歌の基本動作にもなるので、是非練習に取り入れてみてくださいね♪

番外編その①『腹式呼吸は風船のイメージで』

ARVE

何となく頭ではイメージ出来ていても、何だかんだ「腹式呼吸のコツが分かりづらい…」という方は多いのではないでしょうか?お腹で空気を吸い込み、腹筋を使って呼吸をするということが腹式呼吸の基本となりますが、ついつい胸で呼吸をしてしまうという方は多いのです。

この腹式呼吸を簡単にマスターする方法として、まず100円均一などで購入できるゴム風船を準備します。準備ができたら早速ゴム風船を膨らませてみましょう。注意点として、吐き出せる息を全て吐き出すようにして膨らませます。そして息を風船に吹き込んだこの時、お腹がグーッとへこんでいくことが分かるはずです。

実は、このゴム風船を膨らますために使う身体の部位は腹筋になります。意識しなくても、息を最後まで吹き込むことだけ注意しておけば、自然と腹筋を使って息を吐き出しているのです。この“腹筋を使って吐き出す・吸い込む”という一連の流れを掴むことが、腹式呼吸をマスターするコツに繋がります。

文章では分かりにくい部分もあるでしょう。まずは風船で腹式呼吸を実感し、腹式呼吸を実践する時には練習に使用した風船がお腹にあるようなイメージをしながら行ってみると、簡単に腹式呼吸が習得しやすいのでオススメです。

番外編その②『鼻歌で出せる音の確認をして音域を広げる』

発声練習 歌う前

口を開けて歌を歌うよりも鼻歌で歌う方が出せる音域の方が高いのは当然でしょう。歌詞がある歌でも、鼻歌で歌えば高いキーも難なく出せますよね?歌う時の発声練習法の1つとしても、音域を広げることを目的とするレッスンがあります。

そのレッスンで行われるものとして、まずは自分で出せる音域を知ることから始まります。鼻歌であっても、人それぞれ出せる音の限界は様々ですので、まずは自分がどこまで出せるのか、どの音から出なくなるのかを把握しておく必要があります。ここで言えることは、実は鼻歌で出る音域というのは本来自分が出せる音域である可能性が高いということ。

鼻歌で自分の音域が確認できたら、今度はお腹いっぱいに息を貯め込み、口を開けてお腹から息を吐き出しながら、低い音からワンオクターブづつ徐々に高い音を出していきます。この発声する時の口の形は、喉まで開けやすい「あー」の状態で練習すること。

この練習を毎日行うことにより、少しづつ発声している自分の音がクリアな声質に変化します。さらに出せる音域も広がり、声質も太く聞き取りやすいものになっていきます。

番外編その③『口は縦に開いて、動作をつけて発声してみる』

発声練習 歌う前

人間の口は大きく開くと、同時に喉も自然と開く傾向があります。高音域を発声するソプラノ歌手を想像してみましょう。確実に言えることは、どの歌手も口を縦に大きく開けて発声しています。

また、動作をつけながら声を出すことも効果的であるとされています。皆さんもよく見ることがあると思いますが、ソプラノ歌手はもちろんのこと、色々なアーティストが発声している際には腕で音を表現しながら歌っていませんか?

これは決して単なるフリではなく、この動作をすることで自分が発声する音を確認しながら歌っているのです。他にもビブラートなどの技術的な声の出し方が必要な場面においても、この動作をつけることによってより綺麗なビブラートが出やすくするという方法もあるのです。

実際に動作をつけて発声することにより、「出せる音域が広がる!」「ビブラートなどの技術的な発声がしやすい!」「音がとりやすい!」といった方も多くいます。これまでに動作をつけて歌ったことが無い方や発声練習をしたことの無い方は是非試してみてください。思わぬレベルアップのきっかけに繋がるかも知れませんよ♪

声も年齢と同じく放っておけば老朽化する

発声練習 歌う前

発声練習をすることに対して「面倒だし時間もかかるなぁ~…」と、練習すること自体が億劫に感じてしまう方もいることでしょう。でも実は、声というのは年齢とともにどんどん出なくなってしまうもので、放っておくとどんどん老朽化してしまうものなのです。

子どもの頃は遊ぶことが運動でしたよね?年齢を重ねる毎に外で子どもの頃のように遊ぶことも無くなり、「いざ走ろうとしても思うように身体が動かない…」というのはよくある話です。

その大きな原因として筋肉が衰えてしまうことが挙げられますが、これは声も同じであることが言えます。声を出すための声帯には『声帯筋』という筋肉が備わってできていますが、別の身体の部位として腹筋も息を吐き出すための重要なツールです。

発声練習 歌う前

歌を歌うことはこの声帯筋と腹筋が大きく関わっていて、練習しなくなると年齢とともにどんどん筋力が低下していき、老朽化してしまうのです。逆に言えば、発声練習をすることで老朽化も防ぎ、どんどん上達(レベルアップ)していくものなのです。

現代では医学的にも、身体の健康維持のために歌を歌ったり、ダイエットのために歌を歌うことが効果的であることが有名です。それほど歌は身体にとって非常に良いことづくめと考えられているのです。「オーディションの審査に合格するため」「夢を叶えるため」と、人によって各々の目的があることでしょう。

無理に声を出してしまっては声帯も傷めてしまいますし、今まで出ていたキーが急に全く出なくなってしまう最悪の事態に陥ってしまうことも考えられます。色々な目的があるとは思いますが、まずは歌う前には自分に合う簡単な発声練習を身につけ、喉をいたわりながら歌唱力のレベルアップをしていきましょう♪

【関連記事】

発声練習になる文章とオーディションに合格できる美声の作り方

歌う前の“発声練習をするための準備”はもっと大切

発声練習 歌う前

何をするにしても準備運動はとても大切です。スポーツに例えるなら、いきなり走ろうとしても身体は固まっているため、本来の身体の能力を思うように出すことは出来ません。

また準備運動をせずに急激に身体を動かすことにより、思わぬケガをしてしまったり、良い結果には繋がり辛く、練習そのものを無意味にしてしまう可能性も大いにあるのです。

発声練習でも同じことが言え、口の開き方や声質、滑舌などの重要な声をしっかりと出すためのウォーミングアップが非常に重要です。この発声練習前の行動から力をいれることにより、結果に繋がりやすい発声練習ができるようになります。

そこで次の項目からは、皆さんが行う発声練習が少しでも意味あるものにしていただくために、効果的な発声練習前の準備について、いくつか紹介していきたいと思います。

【関連記事】

オーディションでの自己PRの書き方を例文付きで紹介【書類審査編】

オーディションでの志望動機の書き方を例文を交えて詳しく紹介

発声練習前の準備は身体・顔のストレッチが有効

発声練習 歌う前

発声練習に顔のストレッチをすることが有効であることを知っている方も多いかと思いますが、併せて身体のストレッチを行うことも非常に重要な意味があります。

まず、顔のストレッチに対しては「口をより大きく開けるため」「声を出しやすくするため」といった理由が連想しやすいものです。一方で身体のストレッチをすることは、正しい腹式呼吸や身体を温めることによって、より一層声の出し方に大きな違いが出ると言われています。

多くのミュージカル俳優を育成していることで有名な『劇団四季』のレッスンでも、当然日々発声練習は行われていますが、その発声練習前には必ず身体を温めるための準備運動を始めているそうです。

 

View this post on Instagram

 

劇団四季さん(@gekidanshiki_official)がシェアした投稿

劇団四季のミュージカルはセリフがとても明瞭で演者たちの響き渡る声も魅力的、そして広いステージの端から端まで走り回るような、そんな身体全体で表現する演技が素晴らしいことで評価されています。

もちろん俳優達の息が切れてしまったりすることもありません。演技をする俳優の声は、何と数百人もの観客数が入る大劇場の2階席の奥まで聞こえるほどの声量だそうです。

そんな劇団四季の俳優達も実践している日々欠かせない発声練習前のウォーミングアップ。これからオーディションを受ける方をはじめ、発声練習をされる方は是非習得して即実践すべきポイントと言えるでしょう。

スポンサードリンク

発声練習前にしておきたい準備5選【身体編】

ARVE

身体のストレッチを実践する際の重要なポイントは、足先から動かすのではなく首から動かしていくという点です。では何故足先からではないのかというと、足先は身体のパーツの中で心臓から一番遠い部位となっています。

先に足先からストレッチを行ってしまうことで、身体全体へ血流が回る前に冷えてしまうというデメリットがあるのです。そのため、効率良く血流を動かして身体を温めるためにも、心臓から近い部位である首まわりからストレッチを行うと良いとされています。

また、発声練習前に毎回身体のストレッチを行う癖を身に付けることで、発声練習だけでなく身体の代謝を上げることが可能です。さらには運動不足の解消やストレス解消、そしてダイエット効果といった点も期待ができます。日々身体のストレッチを繰り返すことで、声だけではなく身体全体にとっても良いことづくめといっても良いでしょう。

さて次の項目からは、【身体編】として『発声練習前にしておきたい効果的なストレッチ方法5選』を紹介します。沢山工程があるように思えますが、1つ1つの動作はとても簡単で単純なものばかりですので、是非発声練習前のストレッチとして流れを取り入れてみてください。

ストレッチその①『首まわりから動かす』

発声練習 歌う前

  1. ゆっくりと首を左右に2回づつ回す。
  2. 顔を上げて、ゆっくり口を開けて閉じるの動作を3回繰り返す。

無理に声を出そうとすると、かえって喉や声帯に負担をかけてしまい傷つけてしまう原因になってしまいます。声帯が傷ついてしまえば、せっかくの発声にも支障が出てしまい練習どころではありません。

万全に声が出せる状態にすることが発声練習前の準備ということを頭に置いておき、首回りの筋肉をほぐす意味をきちんと理解しましょう。喉も開きやすく、声帯を包む声帯筋も自然とほぐれ、一層声を出しやすくなります。

ストレッチその②『肩を動かす』

発声練習 歌う前

  1. 左右の手を握り、頭の後ろ手にして曲げた手を10秒ひっぱる。3秒づつゆっくり左右行う。
  2. 手を前へ伸ばし反対の手で、ゆっくりとL字ストレッチ。左右2回づつ行う。
  3. 片腕を横に伸ばし、大きくゆっくりと腕を回す。時計回りと反時計回りを2回づつ、両腕を順番に回す。

肩まわりのストレッチをする際、主に動かすのは腕となりますが、肩から動かすイメージでストレッチを行いましょう。

肩まわりの筋肉をほぐすということは、発声する時に重要な役割を持つ『肺』が空気を取り込みやすくする効果があります。筋肉が冷えてしまったり緊張してしまっている時と、身体が温まった状態の時では、肺活量も大きく変化するのだそうです。

ストレッチその③『背中を動かす』

ARVE
  1. 両手の指を組んだ状態で、背伸びをする。
  2. 背伸びをした状態でゆっくりと左右に身体を少しづつ傾ける。
  3. 指を組んだまま、真っすぐ前に伸ばす。この時に背中を丸める。
  4. 背中を丸めた状態で左右にゆっくり上半身を傾ける。そうすると傾けている側の反対の背中部分に緊張を感じれば、ストレッチができている証拠です。1~4の動作を2回づつゆっくり行いましょう。

声を出すためには背筋も大きな役割を持っています。背中を動かすことで肩と同じく肺をより大きく膨らますことができるという点です。

また現代では猫背の方が非常に多いと言われていますが、姿勢の悪い状態で発声を行うと胸を張ることが出来ず、声量を最大に引きあげるのは難しいのです。声量が無ければ務まらないオペラ歌手をみると姿勢の悪い歌手はいないのと同じことで、非常に背中をほぐすことは重要なのです。

ストレッチその④『胸を動かす』

発声練習 歌う前

  1. 両足を肩幅に合わせ開いて立ちます。
  2. みぞおち(お腹の上部)に手を充て、大きく息を吸います。
  3. そのままお腹の下を意識して力を少しづつ入れるようなイメージでゆっくり負荷をかけ息を吐きます。

息を吸い込んでお腹に入れるというよりは胸に入れることで自然と胸筋を使う動作になります。また、吐き出す際にお腹の下に意識を置くことによって腹式呼吸の練習にもなるため、発声にも効果的であり、胸とお腹の柔軟運動を同時に行うことができるのです。

ストレッチその⑤『下半身を動かす』

ARVE
  1. 両足を肩幅に開き、両腕は頭の後ろにして腰だけを下すイメージでスクワットを行う。

無理せずゆっくり10回程度を目安にしましょう。下半身のストレッチが発声練習にどのような効果をもたらすか疑問に思われる方は少なくないでしょう。

しかし、プロの世界では下半身のトレーニングやストレッチのようなウォーミングアップは「やって当たり前」と言われるほど重要なのです。想像し辛いという方に対して下半身のストレッチの重要さを説明するなら、下のような言葉で言うと分かりやすいかもしれません。

「下半身で身体を支えているから声が存分に出せる」

つまり下半身も念入りにストレッチを行う事で、『姿勢の維持』『代謝アップ』『身体の柔軟』に繋がり、その結果、発声の際に声をお腹から安定して出すことが出来たり、肺活量や腹式呼吸にも良い効果をもたらすとされています。

下半身の運動は普段の生活では中々難しい箇所も多いのですが、発声練習前に先ほど説明したスクワットのようなストレッチを念入りに実践する事ができれば上達への近道に繋がることでしょう。

【関連記事】

オーディションに受かる人の特徴とは?顔や体型は合格に関係するのか

発声練習前にしておきたい準備運動3選【顔編】

発声練習 歌う前

ここからは発声練習前にしておきたい顔のウォーミングアップ方法を紹介したいと思います。発声練習の際、口を開けたり声を出したりするような方法は一般的に知られています。

確かに口の開け閉めや舌を動かす準備運動も決して効果が無い訳ではありません。ちなみに、人間の顔が30個以上の筋肉で構成されているということをご存知でしょうか?実は発声にはその30個以上ある筋肉の一部が大きく関わっているのです。

あまり効果の無い間違った準備運動をしないためにも、どの筋肉を使うことによって声質や滑舌、そして呼吸法などのスキルがアップするのか、事前にそれらをしっかり理解しておくことが重要になります。

これにより、発声練習を効率的に行うことができ、レベルアップまでの時間を大きく短縮することが可能です。それでは誰でも続けやすい“発声練習前の顔の準備運動”3つほど分かりやすく紹介します。とても簡単な動作ですので、是非試してみてくださいね♪

【関連記事】

芸能人になるには?年齢やスカウトなどの疑問も分かりやすく解説

準備運動その①『舌を動かす』

発声練習 歌う前

  1. 舌を根元から上下左右に動かします。この動作を1秒間隔で20回づつ行いましょう。

意外と舌の筋肉はあまり普段の生活では使用しないものです。発声練習をする際には滑舌を良くするトレーニングを行いますが、そのトレーニングの前にあらかじめしっかり舌を動かせるようにしておくことは大切です。

さらに舌の筋肉を発声練習前に動かして、強化していくことで小顔効果にも効果がでるようです。一石二鳥ですね。

【関連記事】

理想の滑舌を手に入れる発声練習「あいうえおあお」の正しい方法

準備運動その②『表情筋を動かす』

ARVE
  1. 母音の「あ」「い」を交互に発声する。

まず【あ】の発語の時に縦に大きく口を開けて発語、さらに全体を大きく開けて【あ】をもう一度発声し、これらを交互に行います。同じ【あ】の発声でも2パターンの口の開け方を交互に行う事により、表情筋全体にわたってトレーニングすることができます。

また、【い】の発語も【あ】と同様に2パターンの口の動きを行いましょう。まずは口を横に開いて【い】の発語を行い、次に口をすぼめてから【い】と発語します。この2パターンを交互に10回づつ行います。

表情筋を動かすのに効果的なのは、実際に口を動かして発語することだと言われています。この動作を続けることで、顔の筋肉が徐々に痛くなってくることでしょう。痛くなるということは、つまり普段から全く動かせていないということです。しっかり表情筋を鍛えて、発声練習でスキルアップできるよう、準備練習として行いましょう。

【関連記事】

女優になるには?顔や体重に頼らずに女優になるための方法とは

準備運動その③『ブレス運動』

ARVE
  1. 姿勢良く起立した状態で、肺の空気をゆっくりと吐き出します。
  2. 肺の空気を出し切ったところで、次に鼻から空気を吸い込みます。無理に吸おうとしなくても、自然と吸い込めるでしょう。
  3. 腹式呼吸を意識してまた息をゆっくりと吐き出します。この時に、口の状態は前歯に軽く舌が触れる状態にし、歯のすき間から「スー」と息を出す感じです。この動作を10回繰り返し、2セット行いましょう。

この動作のポイントは、身体に充分に酸素を送り込むというだけでなく、肺を膨らませ、発声に重要なテクニックの一つである『ブレス』の基礎を練習しながら、準備運動ができるという点です。

深呼吸は簡単なものですが、発声練習前の身体全体のコンディションを整えるためにも、このブレスは非常に効果的だと言われています。

【関連記事】

劇団のオーディションに未経験(初心者)でも合格するための秘訣

知ってる!?発声練習前に避けるべき行動

発声練習 歌う前

ここまでは発声練習をする前の準備運動(ウォーミングアップ)をいくつか紹介しましたが、発声練習をするにあたって出来るだけ避けておくべきNG行動も存在します。

  1. 歌う2時間前の飲酒はNG。
  2. 喫煙はNG。
  3. 食事は3時間前までに済ませ、満腹にはならない量を。
  4. 大声を出さない。

…以上の4点については発声練習だけでなく、発声練習前のウォーミングアップの際にも避けるべき行動といわれています。

飲酒やタバコは血流を不要に上げ、喉を乾かしてしまうので良くありません。特にタバコのヤニは厄介で、一見煙なので体内でもすぐに消えるようなイメージに思われがちですが、体内に入るヤニは喉の粘膜にくっついてしまい、これが声質の変化の原因としても考えられているので要注意です。

発声練習 歌う前

また、食事に関してはお腹いっぱい食べてしまうと、食後すぐにウォーミングアップをしても身体は思うように動かせません。

それだけでなく、身体は食べ物を消化するために活動を優先するため、発声練習の準備運動は身体的に大きく負担がかかってしまうことに繋がります。食事は満腹を避け、食後は2~3時間ほどおいてから発声練習の準備をするようにしましょう。

発声練習前に準備なく大声を出すことは、無理に声を出していることと同じであり、逆に喉を傷めてしまう原因になってしまうので、極力大声は控えて発声練習に挑みましょう♪

【関連記事】

演技力を高めるための練習方法とプロに近付くオススメの養成所

正しい知識と方法で発声練習を行うこと

ARVE

というわけで今回は歌う前の発声練習について、そして発声練習をより効果的にするためにしておきたい事前準備(ウォーミングアップ)をいくつか紹介しました。発声練習を本気で実践するのであれば、そのための準備にもしっかり気を配っておくべきです。

1つ1つの行動に意味を持たせるためには、どの動作が必要でどの動作が不要なのかを見極める力も必要になります。とはいえ、これからオーディションを受ける初心者や未経験者の方にとって、これらを見極めることは少し難しいかもしれません。

「どんな練習すれば良いのか分からない」「どんな準備運動をすれば効果があるの?」「自分一人だけだと飽きて続けられない」といった気持ちがあるのであれば、そこはやはりプロの専門家のレッスンを受けることを検討した方が良いでしょう。

勘違いしてはいけないのが、「短期間で効果が得られないなら無意味だ!」と簡単に判断してしまうことです。ダイエットでも言えることですが、これまで当たり前にしていた生活習慣、簡単に言えば食べ物の変更や運動をたった2,3日続けた程度でダイエット効果が出るわけがありません。

ARVE

まして、声質・滑舌・声量が2,3日程度でレベルアップすると思っているなら全く話になりません。これらは日々練習を積んで磨きあげていくべきものであるため、納得できるまでの道のりも非常に長く、相当な努力が必要になるでしょう。

「手っ取り早く近道になる方法が知りたい!」と考えるのも無理はありませんし、「できれば効果的に結果を出したい」と思う気持ちも分かります。そのためにも、自分なりに続けやすいと思ったプログラムを作成し、それを毎日行うことが重要です。しっかり努力を続ければ自ずと身に付くものですし、努力は結果を裏切りません。

仮に裏切られたと思った出来事があったとしても、その結果を作った原因は全て自分自身であり、世間一般以上の努力が出来ていなかっただけのことです。とはいえ、自分一人では限界という現実が立ちはだかるもの。なので、確実な発声練習を身に付けたい方は、やはりプロに教わることが最も効率的だと言えるでしょう。

何はともあれ、まずは出来ることから始めてみましょう。カラオケで出なかったキーが出たり、歌い方や声の張りが変化していることに気が付いた時の喜びは、あなたにしか感じられない最高の快感になることでしょう。

【関連記事】

発声練習になる歌(名曲)のおすすめ10選と歌唱力向上のヒント